プリンセスコネクトがRe:Diveした先は、リッチで、きらびやかで、壊れた世界だった
Cygamesさんがリリースした新作スマホゲーム「プリンセスコネクト!Re:DIVE」(以下プリコネR)
とにかく作りが豪華で、随所に流れるアニメ、今風のクエストスキップの導入や必要素材からドロップするクエストまで飛べるUIなど、Cygamesの最先端が詰まったリッチなゲームです。
…が、前作「プリンセスコネクト」のユーザーだった自分は、シナリオを読み進めるうちに「怖ッッッ!!!」って気持ちがどんどん湧いてくるんですが、この怖さは前作から踏襲されている世界観の知識がないと伝わりにくく、Twitterで検索してもその辺が伝わってない初見さんがとても多く見受けられました。
せっかく面白い作りのシナリオなのに、伝わらないのはもったいないと感じ、最低限の説明をしておきたいないな、というお節介な気分で書きなぐったのがこの文章です。
注:一応公然の秘密ではありますが、この文章にはプリンセスコネクトの世界設定に関する重大なネタバレがありますので、それでも問題ないという方のみ閲覧お願いします。
前作「プリンセスコネクト」はギルド同士の戦い、いわゆるGvGをメインコンテンツにしたゲームで、そのあらすじは以下のようなものでした
2033年、発達したVR技術により開発されたネットワークデバイス「mimi」が世間一般に普及していた。そして「mimi」を利用したオンラインゲーム「レジェンドオブアストルム」では「クリアすると現実世界で何でも願いが叶う」という噂が流れており、それを求めて多くの人間がプレイしていた。
主人公はアストルムをプレイしてはいなかったが、公園で出会った女性・模索路晶によって、強引にアストルムを始めさせられる。
最初は何が何だかわからなかった主人公だが、彼には「プリンセスナイト」という同じパーティーを組む少女たちの力を増大させ、「ユニオンバースト」という秘技を発動させる能力があった。
主人公はその場に居あわせたヒヨリ、ユイ、レイたちとギルドを結成し、ゲームクリアを目指すこととなる。(Wikipediaからまんまコピペ)
…とまずは「プリンセスコネクトの世界、アストルムはVR空間でのゲーム内の世界である」という大前提の世界設定があります。
前作プリンセスコネクトはアストルムと現実世界、両方でヒロイン達と出会い、ゲームを通して仲良くなる過程が描かれており、ゲーム内で学校の話をしたり、ログアウトの時間を気にしたりとオンラインゲームっぽいやりとりが随所に挟まれることも特徴の1つでした。
サイコミでプリコネRリリース直前に特別読み切り漫画が掲載された事もあり、この世界観は特別秘密、というわけではありません。まあ一年以上運営していたわけですしね。
…ですが、プリコネRに登場する人物は何一つ現実世界の事を語らず、アストルムにずっと住んでいたかの様な言動を繰り返します。
もちろんゲームがリニューアルした際に設定が新しくなった、なんて事はありません。
ご丁寧に序章できちんと語られるように、この世界は歪んでおかしくなった狂った世界となってしまっているのです。
40人以上のヒロインと何故か既に知り合いの主人公
ゲーム内でごく一部が持つ、パーティー内のヒロインの潜在能力を力を引き出せる特殊な技能だった筈が、意味合いが全く変わっている「プリンセスナイト」という言葉
あるはずの人物がいない「ロスト」という現象
各キャラの絆ランクが4になると見ることが出来る「別世界=現実世界」の記憶と、それを「夢」と呼び「今は気にしなくていい」と語る謎の語り部、アメス(※1)
唯一「記憶がなくなった」事を嘆く、前作でのライバルキャラ、ムイミ事ノウェム
とにかく、この一見明るいファンタジー世界であるアストルムには不穏なファクターが多すぎます。
序盤にさらっと書かれていますが、彼等が「ログインしっぱなし」で有ることを示す一文です。アストルムの3日がだいたい現実世界での1日、という設定が前作にはあったので、まあ最低でも10日はログインしっぱなしです。
そして一番ヤバい事になっているのが、他ならぬプレイヤーの分身である主人公です。
主人公は女子小学生に声をかけまくるやべーやつとは言え、普通の男子高校生だった筈です。
ですが、プリコネRでの主人公は海の水が塩辛い事を知らなかったり、文字が読めなかったり(わざわざ『この世界の識字率はほぼ100%のはずなのに』という追い打ちまである)と、明らかに日本の高校生が持っている常識レベルの知識が破壊されているのが読み取れます。
紙幣という概念が無く、差し出された紙幣を突然食べ始めたシーンは完全にホラーでした…
何か決定的なものが壊れてしまっている事を随所に仄めかされながら話が進んでいくので、「一体主人公は今どのような状態になってしまっているのか?」とても気になります。
突然「プリコネRキメラアント編」が始まって主人公がピトーに「あっあっ」されてる可能性も覚悟せざるを得ない状況ですね!
真実が語られるのがだいぶ怖いですが先が気になるのも事実。実際ゲームを進める大きいモチベーションになっています。
…と、こんな感じで前作プリンセスコネクトの世界観を持った状態でプリコネRをプレイすると、世界全体に漂う異様な不気味さを肌で感じながら読み進める事が出来るわけです。
前作のシナリオの結末はここでは書きませんが、有志がアップした動画もちょっと探せば見つかるので、興味がある方は調べてみるといいかもしれません。プリコネR序章の印象がだいぶ変わると思います。
一度ゲームをリセットした事がシナリオに盛り込まれる手法はFF14などにもありましたが、ゲームならではの表現方法として定着していくかもしれませんね。(まあホイホイゲームがサービス終了になるのは勘弁してほしいわけですが)
メインシナリオライターの日日日氏が70万字書いたというシナリオがどのような顛末を迎えるのか。
しばらくはプレイを続けて見守りたいと思います。
(だからスタミナ回復時間短くしてほしいなぁ)
(※1)シナリオとは直接関係ないですが、ゲームの進行的にAUTO戦闘だけで進めなくなり、育成の事を考えないと進行が止まる様になる当たりで丁度ゲーム最序盤から使い続けていたキャラの絆ランクが4になるようになっており、世界観が広がるイベントを見せる=育成のモチベーションを持たせるよう考えられている数値設定、設定者の意思を感じてすげえグッと来ました! おまえのその調整、イエスだね!