ヘボット!の全話配信が始まった日、俺は『人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン』を観て『スプリンパン』に心を掻き毟られた
2020年 8/2(日)よりYouTubeのBN Picturesチャンネルにて、ヘボット!を毎日1話づつ無料配信するという企画が始まりました。
配信後も1週間は見られるそうなので、この機会に是非見てほしいですね。
このブログもヘボット!ゲーム回の解説記事が一番アクセスがあったので思い入れも深いですし…(DVDBOXも買ったし応援上映イベントにも行った)
で、なぜ突然ヘボット!の話をし始めたかというと配信が始まったのと同じ日に
を観に行ったんですよ。
まあ封切り日は7/31(金)だし、同日だったのは完全に自分の都合ではあったんですけど、この2つの出来事が同じ日に起こったことに勝手に「運命」を感じてしまったので文章として残そうと思った次第です。
というか…文章に書き残して一度自分の心を整理しないと日常生活に戻れない気がしたのです…。
(この後は映画のネタバレ全開です。初見で映画を観て狂気を100%享受したい、という方は映画を観てから御覧ください。「狂気に対する心構えを得てから映画を観たい」という方はこのまま是非どうぞ。この文章を事前に観ていたからといってこの映画の狂気が感じられなくなる、なんてことはありませんので…)
「がんばれいわ!!ロボコン ウララー!恋する汁なしタンタンメン!!の巻」
自分もそれなりに長いことニチアサ実況勢なんてしてるので、悪いオタクである自覚はあって、まあこの「ロボコン」の「狂気」を観るのが主目的だったんですよ。
リンク先のストーリーを読んでもらえればこの作品のヤバさはすぐに理解できるし、何せ石田秀範監督、浦沢義雄脚本と聞いたら、そりゃあもう約束された「狂気」が体感できるだろうと…。
で、確かに欲した「狂気」はありました。ただその威力が想像の500倍ぐらいだったので早急にノックアウトされてしまったわけですが…
巨匠と汁なしタンタンメン役の鈴村健一へのインタビューでいろいろなものが補完出来るのでこちらも必見です。
news.yahoo.co.jpanimageplus.jp
今後我々が生きていく中で、チンゲン菜を見たら必ず「ロボコンのオッパイを吸おうとした野菜」という事実が確実に頭をよぎるようになる「呪い」が課せられてしまったわけで、いったい俺の人生に何してくれたんだ感はあるんですが、それでも、「ロボコンに狂った世界を提供させられる」という心構えは事前に出来たので致命傷で済んだ、という事実はあります。
「狂気全振りでまとまり過ぎてるし、巨匠…やはり大分で隠居してたほうが良かったのでは…?」みたいな悪いオタク感想も抱いてたわけなんですよ。
で、でですよ。ロボコンが終わった後間髪入れずに始まったんです。
「スプリンパン まえへすすもう!」が。
正直に言うとわざわざブログに映画の感想を書いている理由の8割がコレで
「一度スプリンパンに対する感情を形に残して整理しないと生活に支障が出る」と強く感じたんですね。
↓生活に支障が出ている様子
映画館から家に戻ってきたけどまだ全てを消化しきれてなくてとりあえずスプリンパン公式垢をフォローしたりしてる
— おぷもんどゴワス (@GNPSTONP) 2020年8月2日
スプリンパンの事考えすぎて電車乗り越す所だった
— おぷもんどゴワス (@GNPSTONP) 2020年8月2日
映画観て1日経ったけど、Twitterで検索する単語はロボコンより圧倒的に「スプリンパン」になっている純然たる事実にこれから俺はどう立ち向かっていけばいいというのか
— おぷもんどゴワス (@GNPSTONP) 2020年8月3日
ロボコンが約束された「熟練の狂気」であるなら、スプリンパンは「純粋な光の暴力」といった感じで、とにかく身構えていたロボコンとは違って全く予想外な方向からぶん殴られてしまい、マジで白昼夢のような日々を過ごす様になってしまったのです。
一体スプリンパンとは何だったのか。
自分の生活を取り戻す為に色々書きなぐってみようと思います。
スプリンパンを知る上で欠かせない記事があります。
note.comスプリンパンの生みの親である井上ジェット氏による、スプリンパンをなぜ作ったか?というnote
細かい内容はぜひ直接読みに行ってほしいのですが、一つ確実に言えるのは、井上ジェット氏はガチで、一点の曇りもなく、スプリンパンを「日帰り旅行のようなおだやかな浮き沈みのアニメ」(noteの記述より抜粋)にしようとしてるんです。
スプリンパンはどうも後から追っかける形で「人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン」の上映に差し込まれる事が決定した様で、劇場ではグッズが売られておらず、BOOTH(!)にて販売されています。
で、用意されてるグッズが
いや、「日帰り旅行のようなおだやかな浮き沈みのアニメ」を目指してて最初に用意するグッズが「劇中突然空中に浮かぶスプリンパンのお母さんシーン」クリアファイルとかそんなことある!?!?!?
「ロボコン観に来た人達がスプリンパンの映像のどこにフックするのか」の自己分析が完璧すぎでしょ!?!?
「ひたすら高みを目指す光の上昇志向」と「冷静に自分を見つめる闇の自己分析」がナチュラルに同居しててマジ怖いよ!!
いや、まぁマスキングテープと一緒に買いましたけど…(そして見切れるハンバーガーちゃんマグカップ)
その他にも
「いや流石に『世界初、日本初のミュージカルアニメ』はブチ上げすぎじゃない?と言いたくなるがそんなことは微塵も気にしなさそうな光の意思」
「なぜか曲という曲が途中でブチ切れて繋がる構成(ミュージカルアニメなのに)」
「EDテーマですらブチ切れて「人体のサバイバル!」に繋がる」
「山どんとスノーミーメイのパ・ド・ドゥに関する異常な拘り(実際バレエのモーションは全編通してめちゃくちゃ高クオリティ)」
「冒頭の自己紹介後全く話に絡まないリンゴリーダー」
『あらすじを一行で言うと、スプリンパンは女の子自らが作ったキャラクターで、自らがスプリンパンとなって不思議な世界で不思議な仲間に出会い一緒に旅をするというものです。』(noteより抜粋)
という世界観説明はほとんどされないまま(短編アニメだしね)本編がホットスタートするし、そもそもその文章量は「一行じゃなくない?というツッコミも全く意に介さないと思われる光の意思」
…と、とにかく全編、さらには映像外の取り巻く環境においても「なにかが凄い!」のだがが具体的にどう凄くてどうヤバイのかを非常に説明しづらいのだ。
本当にこれは誤解してほしくないのだが、井上ジェット氏はじめとするスタッフは「狂気アニメをつくろう」なんて意思は微塵もなくて、本気で「健やかな前向きさを持ったアニメ」(再度noteより抜粋)を作ろうとしてるんです。
ただその「意志」があまりにも真っ直ぐで純粋過ぎるが為、さらには「約束された狂気」であるロボコンから間髪入れずにブチ込まれる、という上映順マジックが加わることで、最終的に「なんだかよくわからない『光』を叩きつけられる5分間」という未知の体験が成立してしまった…それが「スプリンパン まえへすすもう!」だったのではないか… そんな気がしています。
これをロボコンを見に来た大人が、さらには「人体のサバイバル!」を目的に劇場に来た子ども達が受け止めるには重すぎる…
だが、これは今、劇場に行かないと成立しない体験で有ることは間違いなくて、「となりのトトロと火垂るの墓同時上映」「「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃と劇場版とっとこハム太郎同時上映」に並ぶ劇場体験として語り継がれる事も…あるかもしれないです。
何気に二年前から活動してるスプリンパン動画もぜひチェックしてみてその「光」を感じてみてほしい。
この映画のトリでありメイン、小学生向け人気サイエンス漫画の映画化で、結論から言うとめちゃくちゃ傑作!
まずストーリーの起承転結がちゃんとしてるし(えっ)、キャラ紹介も丁寧にされるから原作を知らなくても話に入れるし何より紹介されたキャラがちゃんと活躍する!!!
今落ち着いて考えると、「子供向けアニメとしてもツッコミ所あるな…」という点は多々あり、軽く書いてみると
「ジャングルの環境体に悪すぎない!?(重篤な症状を多数抱えるピピちゃん)」
「DANGER!って大きく点滅するバイタルモニターハッタリ1000%だが超イカス」
「Twitterの検索予測に『人体のサバイバル 性癖』と出るくらいシチュエーションがやたらマニアック」
「この世には「麻酔」という概念があってだね…と諭したくなる終盤の展開」
「補助金を得るために学会に連れ出されたノウ博士が突然精神論100%の演説を初めて、会場が大盛りあがりになったのを観て「予定と違うが補助金が貰える~」と騒ぐ教授(CV:竹中直人)に強いゴーストみを感じる」
…とまあ色々あるんですが、それすら基本的に些細なツッコミ、と言えるぐらい科学啓蒙+冒険活劇としてのバランスが良くて、この作品があったからこそロボコンとスプリンパンで乱れた精神状態をフラットに戻して劇場から出ることが出来る…というものになっていました。
それ故に人体のサバイバル!を観に来たお子さんにロボコンとスプリンパンをノルマとして叩きつける東映、マジ罪深いよ…とも思ったわけですが…
ここまで書いて(何か文字数4000文字とか出てるんだけど)、やっとこの映画を自分の中で消化しきれた…そんな気がしてます。
冒頭のツカミにヘボット!の事を書きましたが、「子供向けアニメに内在する狂気とこだわり」みたいな部分に共通性を感じたのでこういう構成にしました。
東映はこの後「東映まんがまつり」がすぐ後ろに控えてて、この映画もすぐに打ち切りになってしまうのではないか、とも言われてます。
ロボコン、スプリンパン、人体のサバイバルのどれか一つ欠けてても、また上映順がズレててもこの不思議体験にはならなかったと思うので、今しか体験出来ない令和の映画エンターテインメント、狂気に触れる勇気のある人は試してみるのはいかがでしょうか。
自分は今週どっかで夏季休暇もらって「MX4D版」を体験しに行くつもりです。骨は拾ってください。